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「徂徠豆腐」と「フリクションボール」

川口佐和子

今日は、立川志の輔の独演会を聞きに行きました。

今日の演目は「徂徠豆腐(そらいどうふ)」。
志の輔の得意ネタのひとつです。

無名で、お金が無かったころの荻生徂徠(儒学者)に
おからを毎日届けた豆腐屋がいました。

豆腐屋は腕も良く
店は大層繁盛していたのですが
ある日、店が火事で焼けてしまいます。
その時、至急の資金にと十両を届け、
店まで建て直してくれたのが荻生徂徠でした。

という人情話です。

落語、歌舞伎、狂言など
大衆に訴える表現者は
時代の生々しさを伝えることが
受け手にとっての、面白さとなります。

サブプライム・ローンが
日米欧を景気後退へと導く中

金融機関になぞらえて
‘置き泥棒’という言葉が落語の中に出てきます。

十両を人づてに渡された、豆腐屋さん
理由も分らず置いて行ったので
きっと、これは新手(あらて)の泥棒だと思うのです。
お金を勝手に置いて行って、あとから途方もない金利を請求する
そんな悪徳業者を、‘置き泥棒’と説明しています。

置き泥棒かな??
と心配になりつつも、切羽詰まって、
ついつい、そのお金に手を出してしまう豆腐屋さん。
ほろ苦い人間の弱さ。

そして最後
志の輔は、こう落としました。

おからの代わりに総ヒノキ造りの店を建ててもらい
恐縮する豆腐屋に荻生徂徠が言います。
「気にすることはない、あれは、店に見えるが‘おから‘なのだから」

気に病む豆腐屋に、気遣いの言葉をかけて、
高座は終了します。

不動産を所有したいという人間の欲望に、いやらしく、つけ込み
返済できないとわかっているお金を貸し付ける。
そんなサブプライム・ローンにより建て続けられた
今は所有者無き、たくさんの家屋。

目に見える現(うつつ)は、本当にその価値があるものなのだろうか?
不動産なんて、心のこもった‘おから‘に、比べれば
それほど価値はない。

所有物に関わる真実を
「志の輔の‘徂徠豆腐‘」は教えてくれています。

私たち、小売業に携わる者は
常に目に見える商品に価格をつけるという仕事をしています。

所詮、物の価格は
その時の経済状況と人の価値観が決めるもの

目に見えるものは、
私たちが、価値があると思い込んでいるだけかもしれない。

目に見えるものは
私たちが、見えると思っているだけかもしれない。

そのことを、どこかで理解しながら
商売を続けなくてはいけないな〜

と、独演会の帰り道に考え込んでしまいました。

でっ!
フリクションボールと何の関係があるのか?

文字を消せるボールペンとして大ヒットしている、
パイロットのフリクションボール。

フリクションボール.JPG
 <フリクションボール 確かに線が消えます>

文字は消えているのではなく
高い温度帯で透明になるインクを使っているだけ。

摩擦熱で消えたように見えるインクですが、
マイナス20度以下に冷やすと
また、文字が現れるそうな・・・

夢か?現か?幻か?

人間の生き死にも
同じですね

ってことで、映画「おくりびと」は、
ちょっと見てみたい気がします。

あれ・・・とんでもないところに話がきちゃった

♪嬉し楽しやスーパーマーケット♪(54)


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